一匹の黒いカラスがアンテナの上に立っていた。ここでカラスを見たのは初めてだった。今日は焚き火の会(軻遇突智の会)を予定していた。準備のため、焚き火をする下の鍋を動かしたり、ホームセンターで用意したトマトの茎とトマト用の土を植木鉢に入れたりしていた。カラスを見ると、去年精神科病院で育てたトマトを食べたカラスを思い出してしまう。
去年、白いミニトマトの種をAmazonで買って、育てて成長したあと、そこにできたミニトマトの色は、黄色だった。実は、赤いトマトができるだろうと精神科病院に入院中の患者さんに話し、白いトマトができて、驚かせようと考えていた。しかし、結局黄色のトマトができて、こちらがびっくりすることになった。その黄色いトマトをカラスは小さな嘴で挟んで、飛び去っていく。カラスの想いが、トマトを通して、私の中に入ってくる。それは単なる邪悪な怖さではなく、穴蔵の世界から、空の世界へ這い上がっていく意志を見せる挑戦的なものであった。
今日、カラスがこの神殿に初めて現れた。しかもトマトを植えている時に。そのトマトの色は、赤と黄色の両方の予定だ。しかし、本当のトマトの色は、実がなるまではわからない。
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